NAIKI総合カタログ2017デジタルブック
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腰椎を支えるのではなく、骨盤を優しくホールドするという新発想長時間座っていてもストレスを感じさせない、人間工学に基づいた快適チェアー「セリフト」。ナイキからのご提案博士(芸術工学/九州芸術工科大学)研究テーマは「民具の人間工学的研究」「身体技法の研究」「人間工学、働態学に基づく製品の研究開発」等。人間工学にもとづく開発事例多数。河原 雅典 准教授国立大学法人 富山大学 芸術文化学部POINT 01POINT 02セリフトの背もたれは、背の支えるポイントを骨盤の上部を支えるように工夫しました。さらに背の上下調節機構を使うことで一人ひとりにフィットする位置に調整できます。骨盤上部に荷重がかかっていることを示しています。骨盤が適正な位置で止まっていることを示しています。人にとって理想の姿勢は立っている時のように、背骨がゆるやかなS字カーブを描いている状態と言われています。❶しかし、座るとS字カーブがくずれやすいため猫背になりがちです。❷そのS字カーブを保つため従来のチェアーの背もたれは、さまざまな方向に動く不安定な腰椎を中心に支えていました。「セリフト」は腰椎ではなく、上半身の土台となる骨盤に着目しました。背もたれと座面の形状に工夫を凝らして骨盤の上下を優しくホールドすることで、立った状態の「理想の姿勢」❸を保持しやすいチェアーに仕上げました。セリフトの座面には工夫が施されており、お尻周辺と太もも周辺の沈み込み量が調整され骨盤の下部を適度にホールドし骨盤の前ずれを防ぎます。背もたれとの相乗効果で「理想の姿勢」を保持します。立っているとき背骨はゆるやかなS字カーブ。座ったとき骨盤が後傾して背骨のS字カーブがくずれやすい。セリフト骨盤の上下部分をホールドして、立った状態に近い姿勢に。背もたれで骨盤の上部を支える座面で骨盤の下部を包み込む123私の専門は人間工学の研究・実践です。その中のテーマのひとつが「背負梯子」という伝統的な人力運搬具。“背負運搬”には「腰椎に荷重をかける道具」と「骨盤に荷重をかける道具」があります。この2つを比べてみると、明らかに骨盤に荷重をかけるほうが背負いやすくて身体も楽です。この構造的な理論はそのまま椅子にも応用できます。荷物を背負って自分の身体に荷重がかかることと、椅子の背にもたれた反作用として自分の身体に荷重がかかることは、結局同じだからです。そこで骨盤をサポートすることで身体の負担が少なく、しかも理想の姿勢を保持できる事務用チェアーの共同開発を目指しました。今回、特にこだわったのが作業姿勢です。私は「ファイティングポーズ」と呼んでいるのですが、パソコンなどに向かう場合は前傾姿勢で仕事をすることが多いため、腰椎を支える背もたれでは意味がない。腰椎が背もたれに触れていないわけですから。その点、「セリフト」なら前傾姿勢時でも骨盤をしっかりとサポートして疲れにくく、しかも上半身の自由度が高いために作業がしやすい。まさに理想の事務用チェアーといえるでしょう。伝統的な民具の人間工学的な知恵を事務用チェアーに応用。前傾姿勢でも疲れにくく、快適にデスクワークができます。INTERVIEW背負梯子009

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