東日本大震災が発生した2011年3月11日当日、首都圏では直接の地震被害とは別に、鉄道などの公共交通機関が安全確保のため運転を見合わせたことにより多数の「帰宅困難者」が発生、その数は東京,神奈川など1 都4 県で約515 万人に達したと推計されています。徒歩や乗用車での帰宅を試みた人による交通渋滞により救急車など緊急車両の出動に著しい障害が起こり、これまで経験したことのない事態に見舞われました。震災を契機に国や都市域の地方公共団体は帰宅困難者対策を強化しつつあり、事業者に対しては従業員の帰宅抑制に加えて可能な範囲で従業員以外の帰宅困難者の受け入れを要請する方向で条例等が整備されました。帰宅困難者の受け入れには様々な課題がありますが、従業員の待機場所の確保、従業員以外の受け入れ場所の確保のため建物内の被害を抑制する必要があり、そのためにも家具類の転倒・落下・移動対策が求められています。都は、首都直下地震の切迫性に加え、帰宅困難者対策に対する都民の関心が高いこの機を捉え、行政、事業者、都民それぞれ役割に応じた帰宅困難者対策取組を明文化した条例を制定する。「防災オフィス」づくりをはじめる前に企業にとって帰宅困難者対策も大きな課題です。1. 対象となる従業員等 雇用の形態(正規、非正規)を問わず、事業所内で勤務する全従業員2. 3日分の備蓄量の目安 ①水については、1人当たり1日3リットル、計9リットル ②主食については、1人当たり1日3食、計9食 ③毛布については、1人当たり1枚 ④その他の品目については、物資ごとに必要量を算定3. 備蓄品目の例示 ①水:ペットボトル入り飲料水 ②主食:アルファ化米、クラッカー、乾パン、カップ麺 ※水や食料の選択に当たっては、賞味期限に留意する必要がある。 ③その他の物資(特に必要性が高いもの) 毛布やそれに類する保温シート、簡易トイレ、衛生用品(トイレットペーパ等)、敷物(ビニールシート等)、携帯ラジオ、懐中電灯、乾電池、救急医療薬品類(備考) ① 上記品目に加えて、事業継続等の要素も加味し、企業ごとに必要な備蓄品を検討していくことが望ましい。 (例)非常用発電機、燃料(危険物関係法令等により消防署への許可申請等が必要なことから、保管場所・数量に配慮が必要)、工具類、調理器具(携帯用ガスコンロ、鍋等)、副食(缶詰等)、ヘルメット、軍手、自転車、地図②企業等だけでなく、従業員等自らも備蓄に努める。 (例)非常用食品、ペットボトル入り飲料水、運動靴、常備薬、携帯電話用電源備蓄の目安α米(50食2ケース)防災クラッカー(一斗缶2ケース)非常用毛布(10枚1ケース)乾パン(24缶2ケース)非常用トイレ(50回分3ケース)水(500ml24本入り8ケース)■防災備蓄備蓄品:10人用3日分を想定した場合、 H=2100 の収納庫でこれだけ収納できます。東京都帰宅困難者対策条例とは(事業者の取組)施行日:平成25年4月1日一斉帰宅の抑制の推進 施設の安全を確認した上で、従業員を事業所内に待機させてください。 必要な3日分の水や食料などの備蓄に努めてください。安否確認と情報提供のための体制整備 通信事業者など、関係機関が連携して、帰宅困難者への情報提供体制の充実や家族等の安否確認手段の周知、利用啓発を進めていきます。一時滞在施設の確保 買い物客や行楽客などの行き場のない帰宅困難者は、行政のみならず、民間事業者の協力をいただき、一時滞在施設で受け入れます。帰宅支援 徒歩で帰宅する人を支援するため、水やトイレなどを提供する災害帰宅支援ステーションを確保していきます。 バスや船などの代替輸送手段を確保していきます。06
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