
置くだけで囲まれたスペースがつくれる
高さ1200mmのハイバックソファー
背後の視線を適度に遮り、集中とリラックスを両立。
ソロワークから複数人での打合せまで、幅広い用途とレイアウトに対応します。
足元の便利な収納、環境に配慮した台輪、
多彩な組み合わせが選べる上質なデザインが空間を美しく彩ります。
「スチール」×「ソファー」という
新ジャンルに挑んだ『スヴェン』開発物語。
「木製が常識だったソファーの構造体を、スチールに置き換えることはできるのか」。その問いから、『スヴェン』の開発は始まりました。強度・耐久性に優れ、くり返し再資源化できるスチール。その素材の可能性をソファーという新たな領域でかたちにするため、デザイン・設計・製造、それぞれの専門性を持つメンバーが幾度も試作と検証を重ねました。ここではプロダクトデザイナーの寺西卓磨さんと開発担当の安部杏実果さんが語る、『スヴェン』誕生までの歩みをご紹介します。
Interview with the Developer. Interview with the Developer. Interview with the Developer. Interview with the Developer. Interview with the Developer. Interview with the Developer. Interview with the Developer. Interview with the Developer. Interview with the Developer. Interview with the Developer. Interview with the Developer. Interview with the Developer.
スチールの可能性のその先へ。
ナイキが切り拓く
ソファーづくりの新常識。
『スヴェン』の開発に取り組むことになったきっかけをお聞かせください。
2023年4月、東京ビッグサイトで開催された国際オフィス家具見本市「オルガテック東京2023」への出展がきっかけでした。その際、ナイキでは「スチールの可能性」をテーマに掲げ、『スヴェン』の原型となるプロトタイプソファーを発表しました。
創業以来ナイキでは薄く剛性に優れ、何度でもリサイクルできるスチールを活用した家具づくりにこだわってきました。金属の薄い板を切る・曲げる・穴を開ける・接合するといった板金加工技術の高さは、ナイキの強みでもあります。そこで、これまでソファーといえば木製が常識でしたが、「台輪部分にスチールを用いたソファー」という新しい視点から製品開発に挑みました。
デザインスケッチに入る前に、オフィスでのソファーワークを調査しました。その結果、「ふかふかとした休息用のソファー」というよりも、「仕事や打ち合わせに対応でき、多人数でも使えるソファー」をデザインコンセプトとして据えることになりました。当初はローバックのソファーを想定し、オプションのパネルを背後に取り付ければ空間を囲えるスタイルにするつもりでした。
ところが、ローバックのソファーに背の高いパネルを取り付けたモデルを試作したところ、後ろにもたれかかった際に安定性を保つのが難しいことがわかりました。
それなら最初から背の高いハイバックにして、ソファーを置くだけで囲まれたスペースができるようにすれば、より新たな価値を提供できる商品になるのではないか。そんな発想に至りました。
使用シーンが具体化する中で、スチールを用いた台輪部分の設計にもこだわりました。
ソファーの脚部をスチール製のパイプにする案も出たのですが、それではナイキが持つ板金加工技術を活かした商品とはいえません。そこで安部さんと相談しながら、台輪部分を連結させてレイアウトの変更ができる「ユニット式のスチールベース」を採用することにしました。
ユニットとしては単体置きができる「基本型」と、基本型と組み合わせて配置する「連結型」を設定しています。直線連結、L字型連結、コの字型連結など、ユニット構成については設計課から提案しました。
木製の場合は完成品をただ置くだけなので、ソファーを並べると微妙な隙間が生まれてしまいます。スチールなら台輪部分をシームレスに連結できるので、隙間なく配置できるのもメリットです。
ソファーのサイズはどのように決められたのですか。
サイズに関しては企画立ち上げの段階で、オフィス空間のレイアウトを担当するオフィスデザイン部からユーザー視点の意見をいただきました。ナイキが掲げる「100人オフィス戦略」の中でも主なターゲットとなる中規模オフィスでは、ソファーを設置するスペースの広さが限られています。そこで、現実的に提案がしやすいコンパクトな奥行600mmに設定しました。
ソファー全体の奥行600mmに対して、台輪部分が占めるサイズを決めるのに苦労しました。最初の試作では安定性を考えて台輪部分のサイズを大きめに設計しました。ところが着座時に足を引くと台輪部分に当たってしまい、窮屈で不快感があることがわかりました。一方で、台輪部分のサイズが小さすぎると不安定になり、後方へ倒れてしまうリスクがあります。そこで10mm単位でサイズを調整しながら試作と転倒試験をくり返し、快適性と安定性の最適なバランスを追求しました。さらに台輪前面の角の部分にはR加工を施しました。ソファーにアクセスしやすく、足がぶつかっても痛くなりにくい安全仕様に仕上げています。
奥行600mmというコンパクトサイズの場合、背もたれに角度を付けることが難しく、着座時の負荷や体感が座面に集中することも課題でした。座った際に硬さを感じにくいようにクッションの素材や厚みに工夫し、評価試験を何度も行いながら快適な座り心地を実現しています。また、背の高さも検討を重ねました。着座した時に周囲の目線が気にならず、単体で使用した際にぐらつかない高さはどれくらいなのか。こちらもバランスを見極めて、背の高さは1,200mmに設定しました。
ハイバックということで、ソファーの背強度も重要でした。ソファー職人の方と連携し、試験と検証を重ねて、背の内部仕様を見直しながら強度確保に努めました。
一般的な高さ800mmぐらいのローバックは従来品に揃っていますが、高さ1,200mmのハイバックソファーはユーザーのみなさまにとって新たな選択肢になると思っています。
細部にまで宿る、
プロフェッショナルたちの
こだわりと情熱。
デザイン・機能・特長で最もこだわったポイントはどこでしょうか。
トラックで運ぶ際の積載効率などを考慮して、下の台輪部分と上のソファー本体を分割し、現地で一体化させるノックダウン方式を取り入れています。ただ、かなりの重量があるソファー本体を持ち上げ、手探りで台輪の正しい位置に合わせる作業は難しく、施工性と安全性の両面で検討する必要がありました。そこで、ソファー本体側にガイドとなる木枠を設けることで、誰でも簡単に位置決めができ、安全かつ確実に組み立てができるように工夫しました。
ソファー本体と台輪部分を一体化させる設置現場に立ち会ったのですが、「置くだけで連結の穴がぴったり合うのでセットしやすい」と施工スタッフから言っていただけました。
現地でスムーズに組み立てられるように、施工性には最後までこだわって設計したのでとてもうれしい言葉でした。
もしもの時のための防災備蓄品を保管できる収納スペースを、台輪部分に設けることにもこだわりました。木製ソファーでもよく見受けられる仕様になりますが、スチールならではの薄さを活かすことで、より大きな収納面積を確保しています。
羽毛布団や簡易トイレ、ペットボトルなどのサイズを調査して、最適な面積を計算した上で収納スペースを設計しました。また、防災備蓄品を入れた後に前パネルで閉じ、手まわしのネジで留め付けができるように板金を加工しています。
意匠面としてはフラットに見せたかったので、前パネルを引っ掛けて固定する仕組みを考えていました。しかし、緊急時に手まわしのネジを外せば前パネルが開くことを視覚的にアピールできるほうがいいと安部さんから提案され、私もその考えに納得して採用しました。
意匠についてふれていただきましたが、表情豊かな背もたれも魅力的ですね。
ボタンで張地を引き込み、一直線に伸びるラインとともに柔らかな陰影が生まれるようにデザインしています。ソファー職人の方に相談したところ、シワを出さずに張地を引き込み、絶妙な陰影をつくるには熟練の技が必要とのことでした。『スヴェン』の“顔”となる部分だけに何度も微調整をお願いし、私たちが思い描いていた通りの表情を実現してくださいました。
ボタンの製造方法にまで細やかにこだわってくださいました。ソファー職人としての熱意をひしひしと感じましたので、私たちも責任を持ってデザイン、設計に落とし込まなければいけないと身が引き締まりました。
ナイキの長年にわたる
ものづくりの蓄積が
『スヴェン』に結実。
張地やカラーを決める上で特に難しかったのはどのような点ですか。
このソファーの対面に配置されるテーブルやチェアー、さらにはオフィス空間の内装意匠まで意識し、トータルの空間づくりが行えるアイテムとして張地やカラーを選定するのが難しかったです。
台輪部分はマット調で高級感のあるサテン塗装と、床・壁・天井材と調和しやすい木目調のシート張りをご用意しました。サテン塗装は2色、木目調のシート張りは5色を揃えています。また、ソファー張地は趣のある布地と上質なビニールレザーからお選びいただけます。布地・ビニールレザーともに7色をラインナップしています。
台輪とソファー張地のカラーを組み合わせると、実に98パターンにもなります。ほかの家具や内装に合わせてコーディネートし、「この場所で仕事がしたい」と思っていただける場づくりに役立ててほしいです。
最後にユーザーの方々へ伝えたい想いをお聞かせください。
これまで彦根工場では、収納庫やローパーティション、シェルフなど、主にモノを収めたり守ったりする「シェルター系家具」を板金加工でつくってきました。それに対して『スヴェン』は、人が直接座り、身体を委ねて寛ぐための「アーゴノミー系家具」という位置付けになります。無機質で硬く冷たいイメージを持つスチールを用いて、温もりを感じさせる居心地のいいソファーが完成しました。デザインと設計へのこだわり、板金加工の精度とノウハウ、試作モデルによる試験・検証のくり返し、熟練の技を持つソファー職人の方との絆など、ナイキの長年にわたるものづくりの蓄積が『スヴェン』に息づいています。
『スヴェン』はオフィスに置くだけで適度に囲まれ、周囲の目線を気にせずにいろんな会話や発想が生まれる場となるソファーです。スチールベースという発想は、ナイキが培ってきた板金加工技術があってこそかたちにすることができました。この『スヴェン』をきっかけに今後もスチールの可能性を広げ、新たな価値を持つ家具づくりに挑戦していきたいと考えています。これからのナイキにぜひご期待ください。